専門性よりもジェネラリスト

特定の専門性を持って働けることが、組み込み系のエンジニアに求められることとして当然になっていたのは確かだろう。現在でもなお、専門性の高さを重視した人材募集もよく行われているが、時代の変遷によって状況は変化してきている。1種類のハードウェアについて高度な知識や経験を持っていることよりも、多くのハードウェアに対応できるスキルを持っている人材の方が重宝されるようになってきているのが現状である。組み込み系ではハードウェアに応じた開発が重要になるが、その多様性が著しくなっていることによって生まれている傾向だろう。

ネットワークを代表として汎用性が高いシステムやハードウェアについての見識が深く、一部に限定されない知識の広さを持っていることが望まれている。多様なシステムを統合することによって新しい製品を生み出すという考え方が浸透してきているからであり、ジェネラリストが人材として必要になっている現場が増えているのだ。

複数のエンジニアが個々に専門性を持って協力して開発に取り組めば、複数のシステムを統合して新しい製品を開発することはできなくはない。しかし、エンジニア同士の理解が不十分になってしまうと開発のスピードに支障が生じてしまうだろう。製品開発におけるシステム開発では組み込み系の経験が最も重要であり、組み込みを担うエンジニアが広い知識を持って全てのエンジニアを理解できるようになっていると開発が円滑に進められるのである。